完全大血管転位症により心臓の手術が必要になった息子。生まれた時の体重は1988グラムの低出生体重児。体が小さい分手術の難易度は高い方だったと思われる。本記事では低体重児ながら約10時間にも及ぶ心臓手術を無事終えた一つの成功例として記述していく。
ジャテーン手術
息子が産まれて1週間ほどたった。完全大血管転位症は生後2週間以内に手術を行うことが望ましいとされるが手術日はまだ決まっていなかった。低出生体重児の為少しでも体を大きくして手術に耐えられる体力をつけてから望みたい一方で、早く手術をしなければならないといった板挟みにあっていた。後日、外科の先生から話があり手術内容の話を聞いた。大動脈と肺動脈のスイッチ手術(入れ替え)を行うこと。その際、大動脈から起始している冠動脈と呼ばれる心臓を覆う血管も付け替えることなど説明いただいた。「こどもの心臓病と手術」の本を読んでいたこともあり比較的落ち着いて説明を聞けた気がする。手術時間は開始から概ね8~10時間ほど。そのほか手術における合併症と危険性について説明があった。
・心機能低下、心停止などの手術の影響で心不全による循環不全を生じる可能性
・手術には輸血が必要で感染症のリスクがゼロではないこと
・循環不全や人工心肺の影響、薬剤性などにより腎不全、肝不全の可能性
体が未熟な新生児の心臓手術自体がリスクであると再確認させられた。
手術当日
8時:面会
9時:手術前準備(全身麻酔・点滴確保)
11時:手術開始(開胸、人工心肺開始、心停止中にスイッチ手術)
16~17時頃:心拍動再開、容態確認後浮腫み等なければ閉胸
19時:手術終了(この時点で外科の先生から状況説明いただく)
当日は8時前に病院到着。面会の時にはこれから手術に臨む息子に触れ応援することしかできなかった。手術室前で見送り、その後待合室で待機することとなった。原則父母ともに待合室で待機。離れる際はどちらか一方が残るように言われた。容態急変で術式の変更追加手術の際には同意のサインが必要となるため待機となる。基本的に順調であれば途中経過の説明はなく、状況が気になるものの呼ばれるときは想定外のアクシデントにあった時でもあるためひたすら時間が過ぎるのを待っていた。
手術開始から10時間後、外科の先生から説明のため呼び出される。手術は無事成功。低体重で小さい心臓の大動脈と肺動脈を断離し入れ替えてつなぎ直す作業を通常以上に丁寧に行ったことで心停止時間が4時間ほどかかったとのこと。術後浮腫みやすく浮腫みが取れるまで開胸したまま手術室を出る子もいる中、閉胸している状態であること。術後数日は容態が急変しやすいため集中治療室で集中管理なるなど一通り説明いただいた。
術後の経過
息子は術後すぐ集中治療室に移動したとのことで、そこに向かい面会させてもらった。体からは多くの管がつながっており手術の壮絶さを物語っていた。「一先ず息子は無事だ、手術も無事成功だ」緊張の糸が切れて体中の力が抜けた気がした。手術の影響で体中に負担がかかっている状態でその中で腎臓の回復が遅れることが多いとのこと。利尿剤を使用し点滴で摂取した水分をおしっことして排出することが正常な循環の為の最初の一歩となる。「手術後2週間くらいは絶対安静でしばらく集中治療室か」と思いきや日を追うごとに点滴の数、体からついていた管の数が少なくなり経過は良好。術後一週間たったころには手術前にいた元居た新生児病棟に移動していた。新生児病棟でも大きな急変はなく1週間ほどで新生児回復病棟へ移動。ここからは退院のカウントダウンが始まった。
まとめ
リスクに対し過剰な心配をやめる。子供の回復は早く度肝を抜かされた。
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